2000年当時、私が住んでいたベルリン旧東地区は、建物のほとんどが灰色だった。通りを歩くと、自分だけが(通行人が少なかったこともあるが)モノクロ写真の中で色付けされた被写体のような、通りから自分が浮き上がっているような奇妙な感覚を体験したものだ。 そんな経験があったからか、私の頭の中ではこう決まっていた。ブカレストはグレーの街、私が住み始めた頃の旧東ベルリンのような、色のない街と。でも実際は、青くて高い空と控えめながら調和のとれた色がちりばめられた、可愛らしい街だった。 色も記憶を呼び起こす。ブカレストの色はどこか懐かしく、自分の子供時代を思い出す優しい色が多かった気がする。そこに、旧共産国の重厚な建築が重なり合って、なんとも刺激的な景色だった。 When I started living in Berlin in 2000, many buildings in the former East Berlin were gray and unrefurbished. When walking down the street, you felt like you were a few (or sometimes the only) “hand-coloured-object” in a monochrome photograph. No exaggeration. […]